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あらためて国民皆年金を考える@

日本年金機構のH・Pによると平成26年度分(平成26年4月分〜平成27年3月分)の現年度分の納付率が63.1パーセントとあります。対前年度比2.2パーセントの改善ということですが、まだまだ滞納率が高い状態です。

 

国民年金の第一号被保険者(自営業者、学生等)は第2号被保険者(会社員)のように給与から天引きされるわけではありません。そのため、保険料が高い(平成27年度 15,590円)という理由で支払わないという選択をする方もいるでしょう。実際、保険料は毎年、増加しています。

 

2005年4月〜 13,580円×1=13,580円
2006年4月〜 13,860円×1=13,860円
2007年4月〜 14,140円×0.997≒14,100円
2008年4月〜 14,420円×0.999≒14,410円
2009年4月〜 14,700円×0.997≒14,660円
2010年4月〜 14,980円×1.008≒15,100円
2011年4月〜 15,260円×0.984≒15,020円
2012年4月〜 15,540円×0.964≒14,980円
2013年4月〜 15,820円×改定率
2014年4月〜 16,100円×改定率
2015年4月〜 16,380円×改定率
2016年4月〜 16,660円×改定率

 

ここまでみて、2016年現在の保険料は改定率*を掛けて15,590円です。

 

毎年度の保険料の計算の仕方は・・・ 平成16年度の改正で決定した保険料額×保険料改定率

 

*保険料改定率=前年度保険料改定率×名目賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)

 

また、保険料は平成16年改正により「保険料水準固定方式」が導入され平成29年まで保険料は上がり続け、平成29年で保険料(16,900円×改定率)は固定されます。

 

 

次に、老齢基礎年金の支給額の推移をみてみます。

1961年 24,000円
・・・・・  
1973年 240,000円
・・・・・
1980年 504,000円
・・・・・  
1986年4月〜 622,800円
・・・・・  
1989年4月〜 666,000円
・・・・・  
1990年4月〜 681,300円
1991年4月〜 702,000円
・・・・・  
1994年10月〜 780,000円
・・・・・  
1999年4月〜 804,200円
2003年4月〜 797,000円
・・・・・  
2015年4月〜 780,100円

 

国民皆年金が実施されたのが1961年です。その年は2万4千円で、それから、物価スライドにより改定され、2015年で78万100円となっています。

 

しかし、国民皆年金が実施された1996年には2万4千円であった支給額が2015年には78万100円になっています。
それは、年金支給額が物価や賃金の伸びにあわせて改定されているからです。つまり、物価が上昇し、賃金水準が伸びているときは年金支給額も増えるということがわかります。
ですから、ここ20年ほど年金支給額が伸び悩んでいるのは物価や賃金が伸び悩んでいるということになります。

 

さらに、平成27年度から現役世代の減少、高齢者世代の増加に対応して「マクロ経済スライド」が実施されました。
この「マクロ経済スライド」は賃金や物価による改定率から、公的年金制度を支える現役世代の人数と平均余命に応じて増加する給費の伸びに応じて計算した「スライド調整率」を差し引くことで年金の給付額を抑制する働きがあります。この、「マクロ経済スライド」の実施により、年金支給額は実際の物価や賃金の伸びよりも抑制されたものとなり実質目減りしています。

 

以上のことから、年金保険料は増加し、年金給付額は抑制されていることがみてとれますが、保険料の滞納はトクにはなりません

 

年金給付額は物価や賃金により改定されるというのはとても重要なことで、このことが加味されないと低い物価水準のままの年金が支給されることになってしまいます。明らかに国民皆年金が実施された当時とは物価や賃金水準が違います。ですから、1999年頃までは年金支給額も増加していました。また、今後も年金支給額、保険料はこれらのことが加味されて決定されていきます。そうするやはり、国民年金は自分たちの老後に必要な最低限の原資となっていくと考えられと思います。

 

「国民皆年金」は世代間をまたいでの助け合い、また、所得の再分配(所得の多い人は税金を多く支払うが、国民年金として将来もらう給付額は所得の低い人と変わらず定額)で成り立っています。
ですから、年金保険料を支払うのがもし大変なら「国民年金保険料免除制度」を利用するのがよいでしょう。免除の届出をしておくとこの期間は未納と扱われません。免除制度には全額、4分の3、半額、4分の1の額が免除されるものがありますが、全額免除でも平成21年度以降は、保険料を全額支払ったときにもらえる年金額の2分の1の額が年金としてもらえます。

 

また、保険料を滞納していると「障害年金」の支給要件を満たさず、若くして病気やケガになり障害が残っても年金がもらえなくなってしまいます。

 

以上のことから、「国民皆年金」は日本の社会保障のあり方として重要なものとなっいることがわかります。

 

保険料免除制度についてはまた詳しく書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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