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一元化後の繰り上げ、繰下げ時の注意点

1 被用者年金一元化法の成立

 

「被用者年金一元化法」が平成24年8月10日に成立し平成27年10月1日から施行されました。
この被用者年金一元化のねらいは、公務員や私学共済職員も厚生年金に加入し給付内容や保険料も民間の会社員と同様にし、公平性の観点や年金制度を安定的に維持することを目的としたものです。
共済年金と厚生年金は多くの制度的な差異がありましたが多くは厚生年金の制度にそろえられました。

 

中でも老齢年金の在職老齢年金の支給停止の計算の仕方や加給年金の加算などは一元化後複雑になっています。
また、老齢年金の繰り上げ、繰下げのしかたについても気を付けるポイントがあります。
今回は、一元化後に二種類の厚生年金を繰り上げ時のポイントについて書いてみたいと思います。

 

2 厚生年金被保険者の種別

 

被用者年金一元化以後は以下のように4種類の被保険者の種別に分けられました。

 

@いままでの厚生年金の加入者→第1号厚生年金被保険者

 

A国家公務員の共済加入者→第2号厚生年金被保険者

 

B地方公務員の共済加入者→第3号厚生年金被保険者

 

C私立学校の共済加入者→第4号厚生年金被保険者

 

気をつけていただきたいのはこの4種類は厚生年金の種別であり国民年金の種別である第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者とは違うということです。

 

以下、4種類の厚生年金被保険者の種別を念頭に置いたうえで一元化後の老齢厚生年金の繰り上げ、繰下げを見ていきたいと思います。

 

3 一元化後に2種類以上の厚生年金の繰り上げをしたい場合はどうしたらいい?

 

@昭和31年4月生まれの男性が「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」と「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」を受給する権利がある場合

 

この方は本来なら62歳から年金を受け始める方ですが60歳から繰り上げ請求をしたいとなりますと「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」と「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」を両方同時に繰り上げ請求することとなります。一元化後はすべての種別の老歴厚生年金を繰り上げしなくてはならないためすべて減額支給(繰り上げた月数一か月あた0,5パーセントづつ減額)りされるということを念頭に置くことが必要です。また、それと同時に「老齢基礎年金」も繰り上げなくてはなりません。

 

手続き先・・・老齢厚生年金の請求は日本年金機構(年金事務所)でも各共済組合等の窓口でもできます。
        年金請求書(様式101号)繰上げ請求書(様式102号)が必要となります。

 

 

A昭和31年4月生まれの女性が「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」と「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」を受給する権利がある場合

 

この方は上記@の男性と同じ生年月日の方ですが女性ですので「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」は本来60歳から支給され「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」は男性と同じ62歳からの支給となります。
このケースで60歳から繰り上げ請求をするとなりますと「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」が60歳でほんらいどおおり受給し始め、「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」のみ繰り上げ受給となります。そうなりますと、繰り上げ減額される年金は「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金のみとなります。また、「老齢基礎年金」も繰り上げとなり減額されます。

 

「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」を受給する女性は男性と生年月日が同じでも特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なるため繰り上げ請求の仕方が異なっています。

 

手続き先・・・老齢厚生年金の請求は日本年金機構(年金事務所)でも各共済組合等の窓口でもできます。
        事前に送付されてくる年金請求書(又は年金請求書(様式101号)繰上げ請求書(様式102号)で手続きができます。

 

BではさらにAの方が60歳ではなく61歳で繰り上げ請求するとどうなるでしょうか?やはりAと同様に「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」のみ繰り上げ受給となりこの種別のみ減額支給となります。ですから60歳から「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」を受給し61歳から「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」を繰り上げて受給となります。

 

このケースの場合、60歳で「第1号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」の受給手続きが済んでいますので61歳で「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」を繰り上げ手続きを行います。61歳での「第2号の厚生年金被保険者期間を有する特別支給の老齢厚生年金」の手続きは 年金請求書(様式101号)繰上げ請求書(様式102号)により日本年金機構(年金事務所)又は各共済組合等の窓口で行います。「老齢基礎年金」の繰上げ請求に関して「様式234号」により請求しますが、この様式はワンストップサービスとならないため日本年金機構(年金事務所)でのお手続きとなります。