社会保険労士試験対策にも対応

呼吸器疾患による障害〜@じん肺は現在でも労務管理上大きな問題

今回から、じん肺とはどのような疾患なのかみていきます。
じん肺は、労災と認められれば労災補償を受けることができます。また、障害基礎年金、障害厚生年金の対象疾患となっています。
じん肺は過去のものではなくしっかり労務管理行っていく必要があります。

 

では、じん肺とはどのような疾病なのかみていきましょう。

 

職業性疾病のじん肺

 

じん肺法は昭和三十五年三月三十一日に制定され、第一条には、この法律の目的が定められ、「 この法律は、じん肺に関し、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とする。 」とあります。

 

さらに、第二条一項によりますと、じん肺の定義は、「粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。」とあります。

 

じん肺は、一般に職業病とされていますが、近年は、粉じん以外に喫煙や加齢などもじん肺の原因と考えられています。 引用文献 産業医科大学雑誌 35号 特集号「産業医と労働安全衛生法四十年」

 

じん肺患者の職種は?

 

じん肺有所見者の職種をみますと、溶接作業、陶磁器等、鋳物、鉱物掘削、研磨に従事している方が多くなっています。これらの作業に従事している方は、「無機性粉じん」の曝露をしていることが主な原因です。無機性粉じんとは主に、セメントの粉、石炭粉、鉄粉、石綿などがあげられますが、最近では水に溶けにくい有機性粉じん(綿糸、穀粉、線香など)もじん肺の原因となりうると考えられています。 参考 モダンメディア61巻3号 2015 「大気の汚染が及ぼす健康被害」 

 

じん肺患者の推移

 

粉じん作業者は昭和50年に59万にほどで、平成18年には約42万人に減少しましたが、それでもまだ多くの方が粉じん作業に携わっています。じん肺有所見者数は昭和55年には約4万2千人、平成18年には約5900人と減少しています。ただ、1年以上の長期療養患者が年々増加し、死亡者も増加している現在、「じん肺」は今でも労働衛生の観点から対策を講じなくてはならない疾病です。死亡者が増加しているのはじん肺患者の高齢化、原発性肺がんの合併などが原因と考えられています。さらに、有所見者の最近の特徴として 参考文献 日本のじん肺の現状について「」 岸本卓巳

 

見逃せないじん肺の合併症

 

じん肺になると肺の機能が低下し、合併症も起きてくることもあります。以下、法令で6つの疾患が合併症と認められています。

 

じん肺法施行規則第一条   じん肺法 (以下「法」という。)第二条第一項第二号 の合併症は、じん肺管理区分が管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した次に掲げる疾病とする。

 

一  肺結核
二  結核性胸膜炎
三  続発性気管支炎
四  続発性気管支拡張症
五  続発性気胸
六  原発性肺がん

 

原発性肺がんに関しては平成15年4月に施行されたじん肺法施行規則の一部改正で追加されました。
原発性肺がんが合併症と認められたことにより、原発性肺がん(じん肺管理区分2、3、4の方)も労災補償の対象とされました。

 

苦しいじん肺の症状

 

じん肺の症状ですが、初期のころはあまり自覚症状がないようです。おそらく、最初は咳が多いかな、と感じるぐらいでしょうか。それが、いつまでも治まらない、ひどくなっていくようです。また、合併症にもかかり易くなります。粉塵が発生する場所で作業している方(特に溶接作業、陶磁器等、鋳物、鉱物掘削、研磨に従事している方など、)は咳や痰が出る、風邪を引きやすい、息切れがしやすいなど体調の変化には気をつけて早めに受診するようにしたいものです。

 

<祖父もじん肺の合併症で亡くなった>

 

実は、私の祖父も肺がんで亡くなっています。戦後、鋳物工場が盛んな時期があり、祖父も工場を始めたんですが、まだ労働安全衛生法が施行されていない時期で環境を相当悪かったと思われます。
じん肺法の施行が昭和35年、労働安全衛生法の施行が昭和47年で戦後間もない頃は作業環境のことを気にすることもなかったんでしょう。

 

じん肺法が昭和35年に施行されて何年もたち、じん肺法も改正されてきましたが未だにじん肺はなくなりません。

 

労災補償や障害年金も大事ですが、粉塵を発生させる労働環境の更なる改善が必要と感じます。