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呼吸器疾患による障害 @慢性呼吸不全〜慢性呼吸不全の対象疾患は肺疾患のみではない

今回は、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準上、呼吸不全がどのように扱われているかみていきます。

呼吸不全とは

第一章 障害等級認定基準 第10節 呼吸器疾患による障害によりますと、「呼吸不全とは、原因のいかんを問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血O2分圧と動脈血CO2分圧が異常で、そのため生態が正常な機能を営みえなくなった状態」をいう、とあります。

呼吸不全の定義を医学的にもう少し具体的にみると以下のようになります。

室内で呼吸をした時に、動脈血酸素(O2)分圧が60Torr以下となる呼吸障害、または、それに相当する異常状態を呼吸不全と診断する、とあります。 引用 厚生労働省特定疾患「呼吸不全」調査研究班 昭和56年度研究業績より

この呼吸不全をわかり易く解説したサイト「福岡 呼吸不全友の会(ホッの会ト)」さんのホームページから次の文を引用させていただきます。

私たち人間は生きていくうえで、飲んだり食べたりしなければ生きていけません。それを体に摂りいれてエネルギーに変えなければなりません。エネルギーに変えるには燃やさなくてはなりませんが、その時、酸素が必要になります。そして、酸素を燃やすと当然二酸化炭素が発生するわけです。つまり酸素を吸い、二酸化炭素を排出する、それが呼吸となるわけです。それが、何らかの原因でうまく働かなくなり動脈血の中の酸素が不足した状態呼吸不全といいます。

呼吸器疾患の主な認定対象は慢性呼吸不全

障害年金の認定の対象とされる病態は、主に慢性呼吸不全であるとあります。慢性呼吸不全とは呼吸不全の状態がさらに一ヶ月つづくものをいいいます。 引用 厚生労働省特定疾患「呼吸不全」調査研究班 昭和56年度研究業績より

慢性呼吸不全の原因となる疾病は肺疾患のみではない

ここで気をつけなくてはならないのは慢性呼吸不全の対象疾病が肺疾患のみではないということです。つまり慢性呼吸不全を生じる原因が肺疾患のみではないということです。以下、2 認定要領より慢性呼吸不全の原因となる疾患をみてみます。

慢性呼吸不全には閉塞性換気障害(肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎等)拘束性換気障害(間質性肺炎、肺結核後遺症、じん肺等)、心血管系異常、神経・筋疾患、中枢神経系異常等多岐にわたり、肺疾患のみが対象ではないとあります。

最近では、心血管系疾患と慢性閉塞性肺疾患の並存率が高いことが指摘されています。 参考 内科系専門医のための情報誌「Essential for physicians」2011年2号
また、神経・筋疾患患者においては肺を動かす神経や筋肉が弱くなることで呼吸が弱くなり呼吸不全を生じさせることもあります。
さらに、中枢神経の異常により脳梗塞や脳出血が起きることがあります。脳梗塞、脳出血においても呼吸不全になりやすいといわれています。

慢性呼吸不全の認定対象疾患は肺疾患のみでなく多岐にわたるということを覚えておきましょう。

次回、呼吸不全の症状、診断、検査についてみていきます。