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大動脈疾患とは?〜日頃から動脈硬化に気をつける

今回は、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準の心疾患による障害の大動脈疾患についてどのような大動脈疾患が障害年金の対象となるかみていきます。

 

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 心疾患による障害の認定要領によりますと、障害年金の認定対象となる大動脈疾患は「一般的には1・2級に該当しないが、本傷病に関連した合併症(周辺臓器への圧迫症状など)の程度や手術の後遺症によっては、さらに上位等級へ該当する。」とあります。つまり、大動脈疾患は基本、1,2級はなく、3級のみの認定ですが、合併症の程度やや手術後の経過がよくない場合は1,2級として認めることもあるよ、ということです。

 

ここでは、どのような症状、程度の大動脈疾患が障害年金の認定の対象となるかみていきます。

 

大動脈疾患とは?

 

まず、大動脈とは何か?をみていきましょう。

 

心臓はきれいな血液を全身へ送る役割がありますが、大動脈は全身へ血液を送る血管の中で一番太い動脈のことをいいます。そして、大動脈は横隔膜から上を胸部大動脈といい横隔膜から下を腹部大動脈といいます。

 

大動脈瘤は動脈硬化が原因のことが多い

 

動脈は全身に血液を運ぶポンプのような役割を果たしていて、本来とてもしなやかなですが、動脈硬化などが原因で大動脈が弱くなることで大動脈にこぶのような膨らみができることがあります。この膨らみを大動脈瘤といいます。大動脈瘤の原因の多くは動脈硬化ですが、外傷性のもの、先天性(マルファン症候群など)、感染性のものなどもあります。 参考 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 

 

障害認定要領をみますと、大動脈瘤の定義として次のようにあります。「大動脈瘤とは、大動脈の一部がのう状またア紡錘状に拡張した状態で、先天性大動脈疾患動脈硬化(アロテーム硬化)膠原病などが原因となる。」とあります。さらに、これのみでは認定の対象とならないが、原疾患の活動性や手術による合併症がみられる場合は総合的に判断するとあります。本来、心疾患の障害で障害年金の対象となるには心不全の症状を呈することが必要ですが、大動脈疾患の場合、心不全の症状があらわれることはあまりないため、症状を総合的に判断して等級を判定するということと思われます。

 

大動脈瘤は胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤に分けられる

 

大動脈瘤は発生部位に応じて胸部大動脈瘤腹部大動脈瘤、さらに胸腹部大動脈瘤に分けられますが、さらに大動脈瘤とは異なる症状の大動脈解離があります。

 

障害認定要領によると、大動脈疾患で3級で認められるには大動脈瘤においても大動脈解離においても@人工血管を挿入+労働不能であること、又はA難治性の高血圧を合併していることが必要となります。

 

大動脈瘤、解離に難治性の高血圧を合併したものは3級

 

大動脈瘤大動脈解離の治療においては、血圧が高い場合には血圧を下げる薬を使うことがあります。血圧が高いと瘤が破裂するおそれがあるからです。大動脈瘤、解離において血圧が高いのは非常に危険な状態のため、障害年金認定要領において「難治性の高血圧を合併したもの」は3級と認定されると考えられます。 

 

体への負担の少ないステントグラフト治療

 

大動脈瘤大動脈解離において、人工血管手術や、ステングラフト治療が行われますが、大動脈解離においては、スタンフォードA型、スタンフォードB型かにより治療方法が異なります。
心臓をでてすぐのところの大動脈が裂けるタイプをスタンフォードA型、下降大動脈から裂けるタイプをスタンフォードB型といいますが、スタンフォードA型は破裂しやすいため緊急の手術が必要になり、人工血管手術が必要になるようです。一方、スタンフォードB型は、すぐに破裂しないこともあるので、すぐに手術を必要としないこともあるようですが、状態によってはすぐに手術が必要になります。また、スタンフォードB型においてはステントグラフト治療が有効なこともあるようです。 参考 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 森之宮病院HP 

 

手術後の合併症

 

人工血管手術においては手術後に脳梗塞下半身麻痺などの合併症が起こることがあります。障害認定要領においては、合併症や手術の後遺症の程度によってはさらに上位等級(3級以上)に認定するとあります。大動脈疾患で障害年金を請求する場合は、合併症の有無、程度等を考え慎重に請求できるか否か判断したいところです。 参照 川崎d大動脈センターHP 、日本血管外学会HP

 

今回のポイント

 

大動脈疾患で障害年金を請求する場合は、障害年金3級では、胸部大動脈解離(スタンフォードA型、B型)や大動脈瘤において、人工血管(ステントグラフトを含む)の手術を行い、労働ができないこと又は、胸部大動脈解離や大動脈瘤において難知性の高血圧を合併していることが認定される上で条件となってきます。さらに、大動脈疾患の元となる疾病の状態や手術による合併症、後遺症がある場合は総合的に認定されるので、診断書にしっかりその旨が記載されているか確認する必要があります。